政府は2026年6月29日開催の規制改革推進会議で、ペロブスカイト太陽電池をはじめとする次世代型太陽電池の普及を後押しするため、実用化の障壁となっていた法規制を見直す方針を示した。
・危険物施設で軽量・柔軟な特徴を損なわない安全対策を策定へ
・工場立地法で環境施設面積の壁面算入を可能とする見直しへ
・建築基準法と電気事業法の適用関係を明確化し、設計ルールを整理へ
政府は、規制改革推進会議の議論を踏まえ、次世代型太陽電池の社会実装を加速させるために関連法令の適用を整理し、2026年度中に具体的な措置を講じる。
見直しの対象となる主な規制は、以下の3点である。
(1)危険物施設での安全対策の見直し
総務省消防庁の「危険物施設に太陽光発電設備を設置する場合の安全対策等に関するガイドライン(危険物施設ガイドライン)」では、自動車工場やガソリンスタンドなどの「危険物施設」へ太陽電池を設置する場合、火災の影響や延焼拡大を防ぐため、パネルをカバーガラスや裏面フィルムなどで挟み込む構造を求めている。しかし、カバーガラスをフィルム型ペロブスカイト太陽電池に使用すると、軽量・柔軟という特徴が損なわれ、耐荷重の低い屋根や壁面などへの導入が困難になる課題があった。
このため政府は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を危険物施設に設置する際の火災対策について見直す。同電池の軽量・柔軟という特徴を維持したまま安全を確保できる基準を整理し、危険物施設ガイドラインなどで明確化する方針だ。
(2)環境施設面積の測定方法を見直し
「工場立地法」では、一定規模以上の工場に対し、敷地面積の25%以上を緑地や太陽光発電設備などの「環境施設」として整備することを義務付けている。現状、これらの面積測定は原則として真上から見た「水平投影面積」で行われる。壁面など水平投影法で算出できない場合は、「水平延長に1.0mを乗じた面積」とする特例措置があるものの、このルールでは工場の壁面に高さ1.0m以上の次世代型太陽電池を設置しても、その設置規模や環境負荷低減効果を正当に反映できなかった。
この課題を解消するため、経済産業省は壁面などに設置される太陽電池について、正面から見た「鉛直投影面積」で算入できるよう見直しを行う。工場立地法運用例規集やFAQ集にこれを明記し、企業が工場の壁面を活用して環境施設を導入しやすい環境を整える。
(3)設計ルールの明確化
ペロブスカイト太陽電池は、建物の外壁や屋根材そのものとして機能する建材一体型太陽光発電(BIPV)としての活用が見込まれている。BIPVには、建物の安全性を規定する「建築基準法」と、電気設備の安全を規定する「電気事業法」の双方の要件が絡むが、設計用荷重の算出において、どちらの法律の基準を適用すべきか明確な線引きがなかった。
この課題に対し、国土交通省は、BIPVを屋根や外壁、窓などとして建築物に設置する場合は「建築基準法」の適用を受けることを通知などにより明確化する。また、経済産業省もBIPVの設計用荷重算出方法について、「建築基準法上の基準にのっとった計算により、構造耐力上の安全を確認できればよい」旨を法令などの解釈に明記し、現場の混乱を解消する。
参考資料: 規制改革推進会議
