北海道中富良野町とGSIクレオスは、町長室の窓面を活用した光透過型有機薄膜太陽電池(ST-OPV)の実証実験を開始した。窓における創エネと遮熱効果、停電時の自立電源としての有効性を検証する。2026年9月17日に発表した。

ST-OPVは、有機半導体材料を用いた薄膜型の太陽電池で、光を透過させながら発電できる特徴を持つ。両者は2026年7月に同電池の実証に関する包括連携協定を締結し、今回の取り組みをその第1段階と位置づけている。
実証では、同町役場(北海道空知郡)の町長室にある南側窓を対象とし、面積約6.1平方メートルの室内側ガラス面に16枚のST-OPVを貼付した。
発電設備には、蓄電池「Honda Mobile Power Pack e:」(本田技研工業製)2台と電力制御機器を接続し、最大電圧は直流で50V未満とした。電力網から切り離された独立系(オフグリッド)のシステムとして構築し、発電した電力は町長室内にあるパソコンやディスプレイなどの優先負荷に給電する。
平時には発電や蓄電、放電の複数パターンを試験して最適制御を探るほか、停電模擬試験を通じて自立運転可能時間や運用手順を確認する。また、来庁者に向けた展示も実施し、地域内外への発信強化につなげる。
検証期間は約12カ月を予定し、主な測定・評価項目は以下の通り。
・発電量・蓄電量・放電量(時間別、季節別)
・室内温度・窓面日射・遮熱効果の検証(定性、定量)
・眺望・採光・グレアに関する利用者インプレッション・アンケート
・自立運転時間(優先負荷限定時)、非常時運用の実効性
・施工性・耐候性・保守性(清掃頻度、付着状態など)
中富良野町は2022年に「ゼロカーボンシティなかふらの」を宣言し、2050年に町全体の温室効果ガス排出を実質ゼロにする目標を掲げている。小松田 清 町長は、今回の取り組みが「町全体の低消費エネルギー化と安心の基盤づくりにつながる」とし、実証で得た知見を今後の展開に生かす考えを示した。
両者は、実証の第2段階として町役場内の他の空間や農業施設へ展開し、最終的には町有の公共施設全体へ設置対象を拡大する計画だ。
GSIクレオスは、繊維と工業製品を扱う商社。2026年4月に、有機薄膜太陽電池(OPV)の製造で世界最大というブラジルのPower Harvesting Dynamics Semiconductors Impressos(PHD)との合弁で、ウロボロス・パワー・ハーベスティング(OPH)を設立した。OPHでは、2029年度以降に日本国内でST-OPVモジュールの製造を始める方針だ。
参考資料: GSIクレオス
