成層圏通信にペロブスカイト活用、ソフトバンクとJAXAが評価技術を開発へ

 ソフトバンクは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、成層圏を飛ぶ通信拠点「HAPS(High Altitude Platform Station、成層圏通信プラットフォーム)」向けに、ペロブスカイト太陽電池を用いた太陽電池モジュールの評価技術を開発すると2026年10月7日に発表した。JAXAが持つ人工衛星の運用知見などを生かし、モジュールの性能向上と開発サイクルの加速を狙う。両者は2026年4月に共同研究契約を結んでいる。

太陽電池モジュールの評価に使用する大面積ロングパルスソーラシミュレーター

 HAPSは、高度約20kmの成層圏を飛行しながら通信サービスを提供するための航空プラットフォーム。長期間を安定して飛行するために、限られた機体重量の中で十分な電力を確保する必要がある。

 ソフトバンクは、HAPSの実用化に向け、機体、通信システム、電源技術などを幅広く研究開発している。電源技術については、HAPSに搭載するためのペロブスカイト太陽電池とシリコン太陽電池を重ね合わせたタンデム型太陽電池の開発を進めている。同電池について、将来的にHAPSに適したコストを図りつつ、重量面密度400g/㎡以下、宇宙空間での太陽光スペクトルを模擬した「Air Mass 0(AM0)」の照射環境下で変換効率30%を目標にしている。

 ソフトバンクとJAXAの共同研究では、両者がHAPSの電力要求や成層圏環境、軽量パネル開発に関する知見と、人工衛星・探査機向け太陽電池の開発・運用を通じて培われた知見、評価技術および試験設備を持ち寄る。

 具体的には、ソフトバンクがHAPS向けに開発した太陽電池セルとモジュールの試作品に対し、JAXAが温度、低圧、放射線、振動といった成層圏での運用環境を考慮した設計・試作に関する見解を示す。

 さらに、JAXAの大面積ロングパルスソーラシミュレーターを活用し、AM0の照射環境下で大型太陽電池モジュールの電気出力特性を測定・評価する。評価の精度を高めるため、ソーラシミュレーターによる光照射と同期してI-V(電流-電圧)特性を取得するほか、ペロブスカイト太陽電池の特性を踏まえ、一定時間、光を照射して特性を安定させる処理「ライトソーキング」などを実施する。

 共同研究の意義について、JAXA 宇宙科学研究所 宇宙機応用工学研究系の豊田 裕之 准教授は、「HAPSは地上の通信網を補完し、防災・減災や国土強靱化に貢献する通信基盤としての活用が期待されている。本共同研究は、そうした将来の可能性を支える電源技術の研究開発に、JAXAが評価技術と技術的知見の側面から貢献するものだ」と説明する。

 今後、ソフトバンクは、JAXAの見解、AM0模擬光下での評価で取得したデータや知見をHAPS向け太陽電池モジュールの設計・試作に活用する。

 JAXAは、大面積フレキシブル太陽電池モジュールの評価データと評価技術を蓄積し、民生分野で進展する軽量・大面積太陽電池の技術を将来の科学衛星・探査機などに応用する。

参考資料: ソフトバンク

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ペロブスカイトニュース編集部は、次世代太陽電池の最新情報を独自の視点で整理し、お届けしています。技術動向から、社会実装の現場、市場を牽引する企業の戦略までを、環境・エネルギー分野の専門的な知見に基づいて厳選して伝えます。

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