岐阜大学工学部の萬関 一広 准教授の研究グループは、ペロブスカイト太陽電池の電子輸送層で同じ結晶相の酸化チタンを積層する新たな材料設計手法を開発した。これにより、発電効率を従来構造から相対的に約10〜14%向上させることに成功したという。2026年9月30日に発表した。

ペロブスカイト太陽電池の開発では、光吸収層で生じた電子を電極へ運ぶ電子輸送層の高機能化が重要課題になっている。従来は異なる材料や結晶相を組み合わせて性能を高めるのが一般的だったが、研究グループは同一の結晶相(ルチル型)の酸化チタンのみでエネルギー配置を制御する手法を考案した。
技術の鍵を握るのは、微小な温度差による作り分けと積層プロセスだ。独自の低温化学合成法を用い、50度と60度というわずかな合成温度の違いで形状の異なる酸化チタン微粒子を生成する。これらをスピンコート法で連続的に塗布して熱処理を加えると、50度合成品はロッド状に、60度合成品は粒子がつながった構造へと変化する。この微細構造の変換を利用し、電子が流れやすい「エネルギーの階段」を形成した。
電子輸送層の効果を厳密に比較するため、光吸収層に標準的な条件で作製したFAPbI3(ホルムアミジニウム鉛ヨウ化物)を使用し、発電性能を評価した。その結果、エネルギーの階段となるように2種類の酸化チタンを配置した構造は19.20%の光電変換効率を記録し、逆順の積層構造(17.37%)や単層構造と比べ、相対的に約10〜14%高い数値を示したとする。
今後、酸化チタンの微細構造や積層構造を制御する精度を高めながら、光吸収材料に応じて電子の流れを最適化できる電子輸送層の開発を進める。今回の材料設計の考え方は、ペロブスカイト太陽電池の高性能化に加え、種々の次世代太陽電池への展開にもつながると期待する。また、他の酸化物半導体材料への応用も見込んでいる。
研究成果は、2026年9月22日に、英国の国際学術誌『Journal of Materials Chemistry C』のオンライン版に掲載された。
参考資料: 岐阜大学(PRWIRE)
