広島大学らが有機薄膜太陽電池で世界最高の変換効率12%を達成

 広島大学、京都大学、日本電子らの共同研究チームは、有機薄膜太陽電池向け新材料が高性能を示す仕組みを解明し、世界最高の変換効率を達成したと2026年7月13日に発表した。

・厚さ300nmの発電層で世界最高の変換効率12%を達成
・電気の流れやすさと溶けやすさの課題を解消

PTNT2Tのモデル化合物の結晶構造

 今回、共同研究チームは、広島大学が開発したポリマー半導体「PTNT2T」の電気が流れる仕組みを調査した。これまで、ポリマー半導体で電気を流れやすくするためには、分子を規則正しく並べる必要があった。しかし、結晶性を高めるとインクとして溶けにくくなり、太陽電池の利点である「塗って作る」プロセスが難しくなるという相反する課題を抱えていた。

 研究チームは、PTNT2Tの構造を詳しく解析した。その結果、分子の骨格同士が分子レベルで大きく重なり合う特殊な構造「core-to-coreスタッキング」を持っていることを発見した。同構造は、分子が規則正しく並んでいない状態でも、分子間で効率的な電気の通り道を形成する。結果として、インクとしての溶けやすさを保ちながら、従来より一桁高い電気の流れやすさを実現した。

 さらに、この材料を用いて有機薄膜太陽電池(OPV)を作製した。OPVは、大面積のパネルを作る際に発電層を厚く塗る必要があるが、従来は厚くすると電気がうまく取り出せず性能が落ちていた。今回、電子を受け取る材料に比較的安価なフラーレン誘導体を用いたところ、通常の3倍に相当する300ナノメートルの厚い発電層でも、電気の取り出しやすさを示す指標・フィルファクターで80%超を維持した。これにより、厚膜のOPVにおいて世界最高のエネルギー変換効率12%を記録した。なお、非フラーレン材料を用いた場合でも15.6%という変換効率を記録している。

 本成果は、材料の結晶性が低くても高い性能を発揮できるという新たな設計指針を示すものだとする。次世代型太陽電池の1つとして期待されるOPVの低コスト化や実用化につながるとしている。

参考資料: 大阪大学

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ペロブスカイトニュース編集部は、次世代太陽電池の最新情報を独自の視点で整理し、お届けしています。技術動向から、社会実装の現場、市場を牽引する企業の戦略までを、環境・エネルギー分野の専門的な知見に基づいて厳選して伝えます。

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