三菱マテリアル、ペロブスカイト太陽電池向け電子輸送層インクのサンプル提供を開始

 三菱マテリアルは、ペロブスカイト太陽電池向け電子輸送層形成インクのサンプル供試を開始したと、2026年7月27日に発表した。

・順型および逆型向け酸化スズナノ粒子インクのサンプルを提供
・高価な材料を省いた逆型構造で16.0%の発電効率を達成

三菱マテリアルが開発した酸化スズ(SnO2)ナノ粒子インク2種(順型向け・逆型向け)

 三菱マテリアルは、ペロブスカイト太陽電池の電子輸送層を形成するための酸化スズ(SnO2)ナノ粒子インクを開発し、サンプル供試を開始した。ペロブスカイト太陽電池は複数の機能層から構成されており、その性能は各層の材料特性に依存する。機能層の1つである電子輸送層は、発電するためのペロブスカイト層で生成した正孔と電子のうち、電子のみを集電板に運ぶ役割を持つ。この層の形成においては、ペロブスカイト層との界面における電気的損失の抑制、均一な膜形成、ならびに熱に弱い部材にダメージを与えないための低温プロセスへの対応が課題となっていた。

 同社は順型構造と逆型構造のそれぞれに最適化した2種類のインクを開発した。これは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業のもと、エネコートテクノロジーズと2022年度から共同で進めてきた技術開発の成果である。

ペロブスカイト太陽電池の順型構造と逆型構造の違い。これらの構造により、電子輸送層に求められる材料や形成方法が異なる。

 今回供試するインクは塗布による成膜が可能であり、大面積化や製造コストの低減に対応するという。さらに、ナノ粒子の分散を制御することで均一で安定した膜形成を実現しているとする。逆型構造においては、一般的に使用される高価なフラーレン(C60)を使用しないデバイス構造を用いて16.0%の発電効率を達成した。これは従来の市販品インクと比較して約1.5倍の性能に相当するという。

塗布プロセスのイメージ

 今後、同社は、サンプル供試を通じて顧客からのフィードバックを収集し、用途や仕様の最適化を進めるとともに、さらなるデバイス性能の向上と量産プロセスの確立を目指す。

参考資料: 三菱マテリアル

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ペロブスカイトニュース編集部は、次世代太陽電池の最新情報を独自の視点で整理し、お届けしています。技術動向から、社会実装の現場、市場を牽引する企業の戦略までを、環境・エネルギー分野の専門的な知見に基づいて厳選して伝えます。

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